story52.「職住一体」の家が復活する予感

現在私は在宅中心で、パソコン等を使ったリサーチ的な業務や、家の保存活用に資する業務などを行っていますが、数年前までは会社勤めの日々でした。25年以上サラリーマン生活だった私にとって、退職後しばらくの生活は慣れないことばかりで、平日に家にいることや、近所を歩くことも、どこか落ち着かない感覚でした。まずは商工会議所主催の創業塾に通い、その後事業のアドバイスをしていただいたり、起業家交流会に参加したりと、地元に根差して個人事業の展開を進めていくうちに、地元への愛着が以前より強くなるとともに、吹田市にも同じような個人事業者や中小企業の方が多く頑張っていること、市役所や商工会議所などのサポートが他市よりもとても手厚いことなど、いろいろな発見もありました。

昨今、働き方改革の呼びかけのもと、テレワークや在宅勤務などが進んでいます(最近はコロナウイルスの影響もありますが)。インターネットやSNS、テレビ会議など通信技術が格段に進んでいるこの時代、わざわざ会社に行かなくてもシェアオフィスや自宅でできる仕事は増えてきています。もっと言えば、会社という組織に属さず、個人個人のネットワークによってできる仕事も増えてきているように思います。その方が、余計なコストが発生せず、労働時間や労働場所も機動的になり、スピーディかつコストパフォーマンスの高い仕事ができるような気がします。

その上で、「家」のあり方も少しずつ変わっていき、これからは「職住一体」化が進んでくる予感がします。元々、日本の伝統的な住居形態である町家の間取りは、職住一体を考える上で理想的なものだったそうです。一般的な町屋の間取りは、通りに面した位置に商品を売るための場所や職人の作業場を置き、その隣にものの出し入れや来客への応対がしやすい玄関を配置し、続いて住居、炊事場の順で奥に連なっていくというものです。また、間口が狭く、奥に長く伸びる独特の敷地を有効に利用し、「職」と「住」の空間を見事に使い分けていたということらしいです。今住んでいる家が職住一体に適しているか分かりませんが、子供がある程度独り立ちした現在は、イベントやレッスンなど皆さんに利用いただける空間、デスクワークや制作など仕事場としての空間、休息したりくつろいだりできるプライベート的な空間を使い分け、「職住一体」の家として利用しています。いろいろな形態があるとは思いますが、そのような働き方や暮らし方ができる住宅が今後増えてくる、そんな気がしています。

Katsuji

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