story53.法治・人治・納得治

ここのところコロナウイルスの脅威が蔓延していて、世界中への影響が終息するにはまだ時間がかかりそうです。日本でも、対応が遅かった、感染防止の対策に不備がある、唐突に一斉休校などの指示が出され国民が混乱した、など様々な議論も生まれています。ただ、リスク対応は非常に難しく、特に突然で、原因が不明で、影響範囲が広いこのような問題については、試行錯誤しながら最適解を見つける必要があり、本当に難しい問題だと思います。新しく法が施行されて様々な特別措置を講じられるようになったり、首相のリーダーシップによる指示・命令が発せられたりしていますが、これらは「法治」および「人治」と呼ばれるもので、難題に対し国を治めていくためには、法律といったルールを拠り所にする、あるいは国の長の意向に従わせるようにする、といった方法があります。ただ、これだけではなかなか社会が動かず、完全な問題解決にはなりません。

以前、ある講演会で、法治、人治以外に「納得治」という方法があるという話をお聞きし、非常に共感した記憶があります。その講演会は、文化財に対する耐震補強の必要性についてで、「国宝などの文化財に補強のために手を入れることは、理解されるが納得はされない」、「日本人は自然な状態と感じるときに納得し、納得によって社会が動く」といったことを話されていました。最近の経験的は話としては、我が家敷地の一部を手放す際、古い土地であるが故、自分らとは別の名義の土地が混じっているなど非常に理不尽な状態になっていることが判明し、その問題をクリアにしようとしても法律的な壁や、国や役所などの人的な圧力で制されたことがありました。当方としては理解できない、国や役所も事情は分かるといった状況の中、話し合いのもと、法解釈を広げ、最終的には国の権限で何とかクリアすることができました。時間をかけて話をすることで、関係者が納得する状態まで持っていくことで問題解決にたどりつけたのだと思います。

「納得治」は、「法治」「人治」に比べ、一番時間がかかる方法ですが、日本人には相応しい方法なんだと思います。今後も、いろいろなことを決断していく場面があると思いますが、関連する法律やルールを勉強した上で、決して押しつけにならないような方法で、関係者のみんなが納得できるような形で進めていけるよう心掛けたいと思います。

Katsuji

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