100年ほど前、私たちが住んでいる家を設計・デザインされた藤井厚二氏は、他にも数多くの建築物を手掛けられています。その中で最も有名な建築物は、昨年国の重要文化財に指定された「聴竹居(京都府大山崎町)」です。一昨日、聴竹居の見学ツアーに参加し、聴竹居倶楽部の方から様々なご説明をいただきました。聴竹居は、藤井厚二氏自らが家族とお住まいになられた実験的住宅で、現在にも通じる非常に斬新な設計思想が組み込まれており、とても興味深くお話を聞かせていただきました。 1つ目は「環境共生住宅」。特に、暑い夏をどう過ごしやすくするかを重要視し、その一例として、床下に長さ12mの土管を埋め込み、自然の西風を取り入れて屋内を涼しくするクールチューブが設置されています。
2つ目は「和と洋をうまく融合させた建築」。広い板間のリビングルームを中心に据えたり、畳間を板間より30cmほど高くし、椅子に座る人と畳に坐る人との目線を同じにするよう配慮したりと、西洋文化が日本に導入される過渡期に見事に和洋を融合させた設計になっています。
3つ目は「自然の中にうまくとけ込むような家づくり」で、地形や植生などを上手に利用しています。他にも細かな知恵や工夫が満載で、合理的かつ美しい造りとなっています。
藤井厚二氏は、和と洋、自然と建築、芸術性と合理性など、相反する2つのことのバランスを非常に重視された方だったのだと思います。しかも、50対50とか30対70とかではなく、どちらも全力投球、100対100というイメージで。そのあたりは、パピエでも大切にしたいと思います。
<追記>10日ほど前に、同じく藤井厚二氏設計の「八木邸(大阪府寝屋川市)」にも見学に行ってきました。その時、聴竹居倶楽部・八木邸倶楽部代表の方がおっしゃられたのは、藤井厚二設計の家を「古民家」というのは適切ではなく「木造モダニズム建築」という表現が良いということでした。なかなか言い慣れませんが、少しずつ、そのような言い方に慣れていこうかなと思っています。
Katsuji
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