story38.古い土地であるが故の大変さ

52年前にこの地で生まれてから最近まで、家の土地の歴史や詳細を知る機会はほとんどありませんでした。私が生まれる1年前におじいさんが亡くなりましたが、その後、土地の形状はほぼ今のままでしたし、自発的に測量や登記関係などに手を付けることはなく、かれこれ50年以上、土地に関してはほぼ何もせずに放置していたような状況だったと思います。前回のstoryの通り、今回、家の敷地の一部を手放すことが決定しましたが、それを計画してから決定に至るまで、古い土地であるために、結構な時間がかかりました。

時間がかかった要因の1つは、手放すに当たって物理的に行うことの多さでした。まずは土地の測量に時間がかかりました。形状や境界を確定するための測量とともに、高低差も測定する必要があります。次は、その土地がどのような形態であれば利用できるかについて、複数の不動産会社に提案をいただきながら、利用形態を固めることに時間がかかりました。家の敷地は勾配が急で、伐採すべき木も多く、有効な利用形態を決めていくことに難航しましたが、時間をかけて議論を重ねることで、ゆったりとした区画割りで緑も多い良好な戸建て住宅地の計画に仕上がったと思います。さらに、地盤の固さを調べるためのボーリング調査、地面に変なものが混じっていないか調べるための土壌調査、隣接する方々との境界確定協議などいろいろなことが必要となりました。面白かったのは殺虫剤で有名な金鳥さんによる害虫駆除の実験(写真)。同社にとってもこのようなフィールドで殺虫剤の効果を実証できるのは有難いことらしいです。

もう1つ時間がかかった要因は、登記や権利関係など法律的に行うことの多さでした。詳しく書くと紙面が足りないのですが、古い土地であるが故に、全く知らない人名義の土地が含まれているなどさまざまな齟齬がありました。知らない人の子孫を探し回ったり、古い文書を掘り起こしたり、弁護士さんや司法書士さん、測量士さんなど、あらゆる士業の専門家の方々の協力をいただきながら総動員で解決していきましたが、土地にまつわる法律解釈や権利移転などの複雑さを痛感した次第です。

古い家屋は維持管理や補修が大変さは感じていましたが、古くからある土地がこれほど大変だったとは。最近、空き家問題が、新聞やニュースでよく話題になっていますが、これはとても溝が深い問題なんだなと改めて思いました。 

Katsuji

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