今年の夏は本当に暑いです。結婚後の数年間以外はずっとこの家に住んでいますが、子供の頃は夏休みの間もエアコンいらずでしたし、20年ほど前に再度住み始めた頃も、ここまでは夏の暑さは厳しくありませんでした。また、滝のような激しいゲリラ豪雨も、我が家のエリアにも影響を及ぼす猛烈な台風も、ここ最近になって確実に増えていると思います。これらの現象は気候変動と呼ばれ、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量増加が原因になっていると言われています。二酸化炭素は石油や石炭などの化石燃料を燃やすことで排出され、電気の使用を減らしたり、ガソリン車での移動を控えたり、太陽光発電などクリーンな電源に切り替えたりなど、二酸化炭素をできるだけ排出しないようにする対策が進められていて、これらは「緩和策」と呼ばれています。ただ、もう既に気候変動は進行してしまっているのだから、緩和策とともに、将来のさらなる気候変動に備えてどのように対応していくかを考えて、実行していくことも必要であり、これらは「適応策」と呼ばれます。私は、入社以来、ずっと環境分野の調査研究や行政計画づくりなどの仕事をしていましたが、最近は適応策に関係する仕事を行うことが多くなっています。
私が環境分野の仕事に興味を持ち、長く携わっているのは、少なからず子供の頃に住んでいた家や庭の影響が大きいと思っています。緑が多く、鳥や虫などの生き物が数多く棲んでいたのでおのずと生き物に興味を持ち、決して綺麗な世界だけでなく、虫が他の生き物に食べられる場面を見たり、自分が虫に刺された際は蜘蛛を潰して塗って解毒するなど、このような綺麗でないことも通じて、食物連鎖や循環系などを学んできたと思います。また、後で知る話になるのですが、我が家を設計した藤井厚二は、日本で環境共生住宅を導入した先駆者と言われています。藤井厚二がイギリスに留学した際、冬の寒さに対応した住宅様式に感銘を受け、日本はむしろ夏の暑さの方がきついため、徹底的に夏の暑さに適応した環境共生住宅を考案されました。有名なのは聴竹居にある通気口(クールチューブ)ですが、我が家にも深い庇や落葉樹の庭木など、いろいろな工夫がされています。そのような家の造りからも、知らず知らずのうちに、環境問題への取組の大切さが私の心に植え付けられていたのかもしれません。
祖父の専三もクリーンエネルギーと呼ばれる水力発電の設計技師だったらしく、祖父も、設計者の藤井厚二も、私も、形は違うものの「環境問題」に関係する仕事をしてきたことは、今になってつくづく嬉しく思います。ただ、100年前に活躍されていた藤井厚二も、100年後にこれだけの暑さになるとは予想できなかったんでしょうね。酷暑の時期が長いので、土壁に熱がこもって、夜になってもその熱は解放されず、今でもエアコンなしには過ごせない毎日になっています。
Katsuji
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