我が家は約100年前に建てられましたが、100年間、住宅ではない期間はなく、ずっと住み継いできています。私が生まれた時は5人家族で住んでいましたが、私の姉2人や私が結婚した時は両親2人、その後、我々4人家族が二世帯住宅として移り住んだ時期は6人となりました。ただ、さらにその後には、両親が亡くなり、子供2人が巣立っていって、今はまた、私たち夫婦2人での住まいとなっています。このように時間によって、住む人数は変わっていき、その都度、部屋が足らなかったり、逆に使わない部屋が出てきたりしてきます。一般的には、子供が小さく、家族の人数が多くなるタイミングで家を買ったり、借り直したりする場合が多いと思いますが、その後、家族の人数が少なくなった時に、もう少しコンパクトな家に引っ越すという選択をする場合も多いと思います。これまで住んでいた家が一定の価格で売却できるケースもあり、これは非常に合理的な方法だと思います。また、この方法については、我が家のような古い家であっても同様で、年齢を重ねた後、別の家に住み替えをして、元々の古い家は別の人が住んで建物が残っていくという形も非常に素敵だと思います。ただ、私たち夫婦は自分らで家に住み続けていくという選択をとりました。二世帯住宅にリフォームして同居するかどうかのタイミングや、両親が亡くなって代替わりをするタイミングなど、この古い家には住まない、いずれは取り壊すか売却するといった判断に迫られる時期がありましたが、壊してしまったら元に戻すことはできないという考えのもと、100年以上過ぎた今でも住み続けることとしています。
せっかくなので、関係する周りの方々にも、この家や庭の雰囲気を知ってもらいたい、ということで、住む人の数が減って、余った部屋を開いていく、いわゆる「住み開き」を行っています。我が家は、たまたま藤井厚二住宅ということで登録有形文化財になりましたが、その前から妻の水彩教室などでいろいろな方々に見てもらう取組を行ってきました。文化財独特のハードルをできるだけ低くし、皆さまに使ってもらう際も、大らかな気持ちで開いていけたらと思っています。先日、神戸塩屋の旧グッゲンハイム邸にスケッチツアーに行ってきました。こちらも築100年以上の建物ですが、その管理をされている森本アリさんは活動的で、かつとても大らかな方です。いろんなイベントとともに、月に一度、広く一般の方々に公開されているのですが、「スケッチの道具を持ってきてもらって、好きな場所を勝手にスケッチしてもらったら良いですよ」とサラリとお話されていました。見てもらって、使ってもらってこその文化財、この感覚を見習いたいなと強く感じて帰ってきた次第です。
Katsuji
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