story26.引き継がれるべき日本の匠

少し前になりますが、知り合いの大学の先生と教え子の生徒さんが我が家にお越しになり、家屋や家具の採寸をしていただきました。その先生は、インテリアの方がご専門で、どちらかと言えば、机や椅子などの家具の方に関心をお持ちでしたが、当方からの希望もあって、家屋の方も1階について隈なく採寸していただきました。

我が家を設計した藤井厚二氏は家具のデザインもしていて、聴竹居と同じく、我が家にも藤井厚二デザインの家具がいくつか残っています。今回、先生の方で調査いただくことで、家具についても機能とデザインが絶妙にマッチしていることを再認識し、さらに味わい深く感じるようになりました。また、家屋については、今後も残し使っていくにあたって、我々も含め多くの方が間取りや規模感を認識できるように採寸いただき、採寸後に作成した図面は当方のホームページでも利用させていただいています。併せて、別の専門家の方には、家屋の裏手にある土蔵も見ていただきました。なまこ壁であったり、扉が二重であったりなどの特徴があるとともに、特に高床式になっていることが非常に珍しいといった見解もいただきました。

このように、家屋だけでなく、家具や附属建築物など我が家のいろんな所でも、さまざまな知恵や工夫が施されています。古くから、このような匠の部分では、日本は世界的にも卓越していたと思います。ただ、昨今、日本製の製品も、効率化や経済性などが重視され、機能は規格化され、デザインも画一的になりがちになっているように感じます。独自性を持った機能や、遊び心のあるデザインなどとことんまで追求した日本らしい匠の世界が、これから新しい時代に入るからこそ、ますます重要になってくると思います。この家も含め、古くからの匠ある物を残し、今後に引き継いでいくことに、少しでも貢献できれば良いなと考えています。

Katsuji

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