story33.新しい時代へ、変わるもの、引き継いでいくもの

本日は、新しい元号令和の1日目。令和元年初日という記念すべき日であります。この家が建てられたのは大正、私たち夫婦が生まれ育ったのは昭和、子供らが生まれ育ったのは平成、そして、これから孫が生まれ育つであろう時代が令和というように、どんどん時代のバトンが渡されていますが、その間に、大きく変わったものもあれば、変わらず残っているものもあります。私が物心ついてからのこの50年をみても、さまざまな技術が発展し、生活は便利になり、多くの情報が行き交い、移動手段も格段にスムーズになるなど、良い方向に変化した部分も多かったと思います。一方で、身近な自然は減り、環境の悪化が進み、人間関係も希薄になりつつあるなど、悪い方向への変化も見受けられますが、人と人との関係や、人と自然との関係、自分への向き合い方など、変わってはいけない部分もまた多くあります。

我が家の形態や我が家での生活様式をみても、時代に応じて、大きく変化してきた部分があります。家の形態でいうと、1つは水回り。家電製品がどんどんリニューアルされるのと同様、キッチンについても時代による移り変わりが大きく、なかなか昔のままで維持することは難しいと感じます。現に、元々あった親世帯のキッチンも私が生まれてから3度ほど入れ替わっていますし、お風呂も木製からホーローに、トイレも汲み取りから水洗へと入れ替わっています。もう1つは安全にも関わる構造材部分。屋根瓦については雨漏り防止や軽量化のため一度全面改修しており、床や天井、壁材などで安全上や維持管理上どうしても修繕しないといけない部分はその都度やり替えています。ただ、家屋について、約100年にわたり、玄関や木枠の窓、網代の天井、廊下、畳間などなど、できるだけ変えずに残してきており、古き良き部分が今でも感じられるように思います。生活様式についても、どうしても継承できなかった風習や行事などは割愛したり、簡略化したりしていますが、衣食住や神事・仏事などできるだけ継承し、慌ただしい世の中だからこそ丁寧な暮らし方を残していきたいという気持ちを持っています。

時代が移っていく中、変わっていくべきものと、変わらないで引き継いでいくべきものがあると思います。新しい技術が生まれても古いものと共存させ、便利な物が増えるからこそひと手間を大切にし、減りつつある自然により感謝して、SNSやネットで全てを済まさずに人との対面をより大事にするなど、そのあたりのバランスをうまく取れるよう今後も頑張りたいものです(下の写真は、この前、プロの写真家に撮影いただいた、古い母屋と新しいアトリエの写真です)。

Katsuji

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