story91.古い物を保全する第3の方法

今度の11月6日、妻のスケッチツアーを能勢町で開催します。初めてジャンボタクシーでの移動となり、能勢町の東から西までグルッと周遊することになります。能勢町は、私が部分出向で勤めている第2の会社「能勢・豊能まちづくり」が所在する場所で、毎週のように出向いています。我が家と同じ大阪とは思えないくらい自然が豊かな長閑な所ですが、昔から住んでいる人達も、新しく移住してきた人達も、とても前向きでユニークである印象を持っています。また、昔はいくつもお城があった歴史ある場所で、浄瑠璃や菊炭など様々な文化や伝統産業が息づいていますが、最近移り住んできた人達が、カフェやレストラン、ギャラリー、民宿、商店など、新しい文化を吹き込んできていて、絶妙な化学反応が見られています。そのような能勢町で、大けやきや棚田などの自然の風景をスケッチするとともに、パン屋の薪パン日々さんや洋服屋の糸草さんにも立ち寄る予定で、ランチは、大阪ラスキン・モリスセンターでお弁当を食べる予定です。

大阪ラスキン・モリスセンターは、200年以上前にイギリスで生誕したジョン・ラスキンや、その思想に感銘を受けたウイリアム・モリスの書物などを所蔵している古民家で、現在は、コミュニティデザインの研修センターとして、リニューアルされている所です。このような貴重なものを、一人の個人の方が能勢町で私蔵されていたこと自体が非常に驚きで、これも能勢町の個性的な一面だと思います。ただ、その方が高齢になられ、将来どのように引き継いでいくかとなった時になかなか良い選択肢がなく、今回、新しい取組としてこのような形になったそうです。

このような古くて文化的価値の高い物を保全していく方法として、まず1つは血縁の子孫が受け継ぐ方法があります。ただ、その際には、維持管理のコストや、資産価値が計上される場合は税金の負担が発生しますし、何よりそのご子息に保全する意思や関心があるかが重要なファクターとなります。もう1つは、大学などの研究機関に寄贈する方法です。この時は研究対象として厳重に保存されるため、大きな維持管理費用がかかり、その一部を寄贈者の方が負担する必要があるそうです。そして、これらとは違う第3の方法が、今回試行されている「コミュニティで保全」するという方法です。古民家の改修もできるだけコミュニティの力を結集し、今後は研修やイベント事業など周りの応援団からの参加費による収益などで、維持管理コストを賄っていこうという方法です。難しい部分も多く、試行錯誤をしながらの取組になると思いますが、成功して欲しいと陰ながら応援しているところです。

私の家も、今後、代替わりで引き継ぐ際に、どのように保全するかの悩みが出てくると思います。このような考え方も1つの参考になるのではと考えています。

Katsuji

KTJパピエ

環境政策 藤井厚二 古民家

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