story69.もう1つの登録有形文化財、我が家の土蔵

我が家には、母屋に隣接して土蔵があるのですが、このたび土蔵の方も、母屋と同時に登録有形文化財になりました。登録にあたって、専門家の方々に調査をしていただきましたが、漆喰仕上げのなまこ壁の外壁、置き屋根形式で銅板葺の切妻屋根、御影石で出来た五段の石段、蝶番付両開きの戸前と内側に銅板貼りの板戸と網戸の計2枚の片引き戸からなる入口、細工を凝らした木製の保護枠や鼠返しが設けられた戸前など、各所に施されている工夫は斬新なものだそうです。また、全体の構造についても、基礎は鉄筋コンクリート製で、ハンチ付き形状の柱が四隅に建って土蔵を持ち上げる形となっていて、間取りは蔵には珍しい正方形で、総二階建て、内部はかね折れ階段が設けられています。このように土蔵は、母屋や敷地の歴史的景観の形成に大きく寄与していることから、「登録基準1.国土の歴史的景観に寄与している」ものとして、国登録有形文化財に相応しい建造物であるとされています。

そして先日、この土蔵の改装工事に着手しました。土蔵は母屋と同時期に建てられ、築100年ほどと大変古いため、屋根や壁などだいぶ傷みが出てきています。登録有形文化財になったこのタイミングで、蔵の損傷の修復に踏み切ったものであります。主には、特に傷みが激しい屋根の造作仕事と、ところどころ剥がれ落ちている白壁やなまこ壁の左官仕事ですが、これから約1ヶ月でどのような姿に蘇っていくのか、工事の進行を見るのがとても楽しみです。

蔵については、もちろん私が物心ついた時から建っていましたが、あまり蔵に関わる思い出はありません。法事などで大勢の来客があった時に座布団やお膳を蔵から出した記憶はありますが、ほとんど馴染みがある場所ではなく、正直、今でも何が保管されているかはっきりと分かっておりません。いわゆる価値のある骨董品はないと聞いていますが、改装工事の次は蔵の中を整理することが使命だと受け止めています。洗練された建物そのものに見劣りしないよう、蔵出しや片付け、掃除などをして、外も中もできるだけ綺麗にしていければなと思っています。

Katsuji

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