story14.残していきたい、我が家の「雨庭」

先月の地震に続いて、7月上旬の長期間にわたる豪雨。広い範囲で多大な被害が発生し、今なお避難生活を強いられている多くの方々には心よりお見舞い申し上げます。北摂地域でも、避難勧告や避難指示が多く発令され、本当に災害続きの昨今となっています。近年、頻発している豪雨災害は、地球温暖化が大きな原因と言われています。長年、石油や石炭などの化石燃料に依存し、二酸化炭素を大量に排出してきたツケが、猛暑や豪雨など、人の健康や生命までも脅かす大問題となっていると言えます。少し専門的な話になりますが、このような気候変動について、少し前までは、火力などから太陽光などへ発電方式を変えるとか、節電などエネルギー消費を減らすなど、できるだけ二酸化炭素の排出を減らして気候の変化を抑えましょうという対策(緩和策)だけが注目されていましたが、最近は、気候変動はある程度やむを得ないという前提に立って、それにどのように順応するかといった対策(適応策)も重要であるという流れになっています(私自身も、他社と協働して、適応策の研究を行っているところです)。

適応策の1つとして、この前のような豪雨災害の際、一気に雨水が流れ過ぎると、下水道などの内水の氾濫や、河川堤防の決壊などにつながってしまうので、可能な部分は土や緑にしてジワジワと雨水を浸透させるという方式が、欧米諸国を中心に見直されています。日本では、京都の枯山水などの庭園が先人の知恵として古くから存在しており、そのような方式を「雨庭」として、逆に海外に発信しています。そういう目で我が家の庭を見ると、家までの小道は舗装され、一気に水が流れるようになっていますが、家の周辺は土や緑で覆われていて、ジワッと雨水を浸透し、過度に水を道路に流し過ぎないようになっていると思います。もう少しよく見ると、土でジワッと浸透するすぐ横に水を溜めおく水路的なものがあったり、小道についても昔ながらの石積みの側溝があったりと、雨水の流れをうまく制御する工夫があり、古くからの「雨庭」の思想が垣間見れます。

今後も、できるだけ自然の土壌は残し、雨水の浸透とともに、夏の暑さを気化熱などで和らげる働きにも期待したいと思います。ただ、雨の日に、来られる方の靴底ができるだけ汚れないよう、砂利か石などのステップ的なものを整備しなくてはとも思っています。自然の力を最大限に生かしつつ、一部は人の手で補って、安全で心地良い暮らしにつながっていければと思います。

Katsuji

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